住宅ローン編③住宅ローンの繰り上げ返済を「やめた」理由|感情を捨てて戦略を選んだ日

家計管理

「1円でも早く返したい」という感情を手放した

家計簿を前に考え込む女性のイラスト

以前の私は、住宅ローンの残高を見るたびに不安になって、「1円でも早く返してスッキリしたい」という感情で2回の繰り上げ返済をしました。

でも今は、あえて繰り上げ返済をしないという判断をしています。

感情で返していた私が、なぜ「返さない」を選ぶようになったのか。残債1,000万円のリアルな数字と、判断を変えた2つの気づき(利息の試算と団信)をまとめます。

わが家のローンの現状

【住宅ローンの現在地(2026年6月)】

項目内容
借入時期約18年前(上の子が1歳の頃)
借入額約2,500万円・35年
月々の返済額約83,000円
現在の残債1,000万円を切ったあたり
残り期間約10年
固定金利の終了2032年

2回の繰り上げ返済でトータル7年短縮できました。でも正直に言うと、それでも借金への恐怖感は消えていませんでした。

「35年 vs 20年 vs 賃貸」——あの選択があったから、今がある

わが家が35年ローンを選んだのは、月々の返済を少なくして手元に現金を残すためでした。

選択肢月々の返済目安手元への影響デメリット
35年ローン約83,000円余裕が生まれやすい総返済額は増える
20年ローン約120,000円台毎月の負担が大きい教育費との両立が難しい
賃貸物件による身軽・転居できる資産が残らない・老後も家賃が続く

「35年は長すぎる」とよく言われます。でも、その長さが家計の安全弁になっている。もし20年で組んでいたら、教育費ピークの今、わが家は行き詰まっていたはずです(35年で借りた経緯と反省は[35年ローンを選んだわが家の結論]に書いています)。

100万円繰り上げたら、利息はいくら減る?試算してみた

「繰り上げ返済はお得」と言われます。では、実際いくらお得なのか。わが家に近い条件で試算してみました。

【試算条件】残債1,000万円・残り10年・金利1.5%(全期間固定・元利均等と仮定)

利息の総額返済期間
そのまま返す約77万円10年
100万円を繰り上げ(期間短縮型)約62万円約9年
差(利息の軽減額)約15万円約1年短縮

つまり、現金100万円を手放して得られるのは、10年かけて約15万円

15万円は決して小さくありません。でも、教育費マラソンの真っ最中に「手元の100万円」が持つ価値——子どもの進路の急な出費に対応できる、収入が揺らいでも数ヶ月は耐えられる——と比べたとき、私の答えは「今は手放さない」でした。

ひとつ補足すると、この軽減額は金利次第で大きく変わります。金利が2倍なら軽減効果もほぼ2倍。昔のような高金利時代なら繰り上げ返済は強力な武器でした。「繰り上げはお得」が常識だった時代と、低金利で借りている今では、前提が違うんです。

衝撃の気づき:団信は「家族への最強の保険」

一軒家と家族の人形が並ぶ温かいイラスト

判断を変えたもうひとつのきっかけが、団体信用生命保険(団信)を学び直したことです。

団信は、ローン契約者に万が一のことがあったとき、住宅ローンの残高がゼロになる保険。現在の残債約1,000万円で考えると、万が一のとき家族は「1,000万円の定期保険」に相当する保障を受け取るのと同じことです。

ここで気づきました。早く返すこと=この保障を自分から縮小することでもあるんだ、と。

繰り上げ返済で残債を減らすほど、万が一のときにゼロになる金額も減っていく。この視点を持ってから、生命保険との保障の重なりも見直すようになりました。「ローンを返す」と「家族を守る」は、実はつながった話だったんです。

「繰り上げ返済すべき人・しない方がいい人」の違い

わが家の結論は「しない」ですが、これは誰にでも当てはまる正解ではありません。判断の目安を表にまとめます。

状況判断の目安
金利が高い(1.5%以上)早めの繰り上げ返済が有利になりやすい
手元現金が少ない(生活費3ヶ月分未満)まず現金確保を優先する
教育費など大型支出が近い繰り上げ返済より現金を温存する
保険の見直しが済んでいない団信の保障価値を先に確認する
低金利(1%未満)かつ投資を活用できる手元現金をNISA等に回す方が効率的な場合も

わが家の場合、固定金利は比較的低く、教育費マラソンの真っ最中。現金を削ってまで繰り上げ返済する理由がありませんでした。浮いた現金の一部はNISAの積立に回しています([夫婦でNISAを整えるまでの記録]はこちら)。

「返すべきか、持っておくべきか」今も続く葛藤

きれいにまとめましたが、正直に言うと、今も葛藤しています。

月83,000円の返済は決して小さくない。通帳の残高が増えていく安心感と、ローン残高を見るたびのモヤモヤの間で、心は揺れます。たぶんこの葛藤は、完済するその日まで続きます。

それでも「あえて返さない」を選び続けているのは、感情ではなく数字で判断すると、今のわが家にはそれが合理的だからです。

「もし感情に任せて繰り上げ返済を続けていたら」

想像すると、ぞっとします。

感情のまま無理な繰り上げ返済を続けていたら、教育費マラソンの真っ只中、手元の現金が足りなくなってパニックになっていたはず。私は「ある程度の現金がない生活」に耐えられない性格です。

今の戦略は、攻めではなく守り。月83,000円を払いながら、教育費を積みながら、手元現金も死守する。地味ですが、これがわが家の最適解です。

まとめ:完済のスッキリ感より、今そこにある安心を

窓辺で外を見つめる女性の温かいイラスト

完済した日の解放感は、きっと素晴らしいものだと思います。でも、その一瞬のために、今この瞬間の「現金の守り」を崩す必要はない。これがわが家の結論です。

判断のポイントをまとめます。

  1. 繰り上げ返済の「お得」は金額で確認する(低金利なら、100万円返して約15万円ということもある)
  2. 団信の保障価値を知ってから決める(早く返す=保障を縮める、でもある)
  3. 金利・手元現金・近い将来の大型支出の3つで、感情ではなく戦略で判断する

「絶対に繰り上げ返済すべき」も「絶対にすべきでない」もありません。自分の家計の数字を整理してから決める。それだけで、選択の質は大きく変わると思います。


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※本記事の情報は2026年6月現在のものです。試算は金利1.5%・元利均等・ボーナス払いなしと仮定した概算です。住宅ローンの条件・最適な戦略は家計状況によって異なります。判断に迷う場合は金融機関やFPへの相談もご検討ください。

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