「無償化」という言葉で、電卓を叩く手が止まりかけた

「令和8年度より私立高校の授業料が、世帯年収に関わらず無償化となる予定です」
学校から届いたプリントのその一文を見て、砂漠でオアシスを見つけたような気持ちになりました。
でも、同じプリントに並んでいた数字を見た瞬間、反射的に電卓を叩いていました。
わが家の真ん中の子は私立高校に通っています。この春、新学年を迎えました。無償化の恩恵がある一方で、4月に実際いくら引き落とされたのか。忖度なしの数字で公開します。
月額明細を見て「安い」と思った。それが罠だった
学校から届いた「授業料等納入金の明細」がこちらです。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 授業料 | 38,000円 |
| 就学支援金(無償化分) | ▲38,000円 |
| 教育充実費 | 5,000円 |
| 冷暖房費 | 1,000円 |
| 校友会費 | 1,000円 |
| PTA会費 | 500円 |
| 教育後援会費 | 800円 |
| 月額合計 | 8,300円 |
「月々8,300円なら安いじゃない」
そう思った方、私と同じ罠にはまっています。4月の引き落とし額にはこの月額に加えて、「諸雑費」が上乗せされます。
「諸雑費」が16,700円。これが本当に重い

明細の別枠に、細かな項目がびっしりと並んでいました。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 日本スポーツ振興センター掛金 | 1,800円 |
| 校友会年会費 | 5,000円 |
| 進路指導費 | 5,000円 |
| 衛生費 | 900円 |
| 図書充実費 | 800円 |
| 各種会費(私中高連・高体連等) | 3,200円 |
| 諸雑費合計 | 16,700円 |
つまり4月の引き落とし額は——
月額 8,300円 + 諸雑費 16,700円 = 合計 25,000円
ここに教科書代が追い打ちをかけてきます。
教科書代2,300円。「安く済んだ」と感じた自分が怖い
今年の教科書代は3冊で、2,300円でした。
入学時の教科書代は数万円かかっていたので、「今年は安く済んだ」と感じてしまいました。でもよく考えたら、これでも2,000円以上。現金が財布からじわじわ出ていく、あの感覚です。
4月の実際の出費をまとめると、こうなります。
| 内訳 | 金額 |
|---|---|
| 学校引き落とし | 25,000円 |
| 教科書代 | 2,300円 |
| 4月合計 | 27,300円 |
学校の通知に書いてあった「2行」を読んで、構造が見えた
今回、学校からの通知にこんな一文がありました。
「体育館空調設備設置に伴い、冷暖房費を値上げさせていただきました」
「就学支援金の増加に応じて、授業料を値上げさせていただきました」
私はこの2行を読んで、なるほど、と思いました。
無償化で親の実質負担が下がる分、学校側は授業料の設定を上げやすくなります。就学支援金で相殺される授業料が増えても、親の手元に戻る金額は変わらない。さらに、冷暖房費など「授業料以外」の部分は無償化の対象外なので、そこが確実に積み上がっていく構造です。
「無償化だから大丈夫」という油断が、一番こわい
3人の子を育て、10年以上パートで家計を支えてきた私の本音を言います。
「無償化」という言葉に安心して、教育費の積立を緩めてはいけない。
授業料は確かに無償化されます。でも、毎月の諸費用・年間の諸雑費・教科書代・模試代・塾代……波は形を変えて、ずっとやってきます。
「無償化されるのは授業料だけ。それ以外に年間でまとまった雑費が必ず発生する」と最初から見積もっておくこと。それが精神衛生上、一番安全な家計管理の戦略だと思っています。
同じ学年で比べてみた。公立と私立、年間9.2万円の差

「でも公立と比べたらどうなの?」という疑問に、実データで答えます。
上の子(公立高校)の同じ学年のときの引き落とし記録と、真ん中の子(私立)を月ごとに並べてみました。同じ学年・同じ1年間の比較です。
| 月 | 公立 | 私立 |
|---|---|---|
| 4月 | 23,000円 | 27,300円 |
| 5月 | 0円(4・5月合算) | 15,100円 |
| 6月 | 12,500円 | 15,100円 |
| 7月 | 24,600円 | 15,100円 |
| 8月 | 0円 | 15,100円 |
| 9月 | 10,500円 | 15,100円 |
| 10月 | 5,500円 | 15,100円 |
| 11月 | 5,500円 | 15,100円 |
| 12月 | 4,500円 | 15,100円 |
| 1月 | 1,500円 | 15,100円 |
| 2月 | 1,500円 | 15,100円 |
| 3月 | 2,200円 | 5,100円(返金後) |
| 年間合計 | 約91,300円 | 約183,500円 |
※公立、私立共に授業料は無償化により0円。私立は3月の教材費返金(約1万円)を反映。
年間差は約92,000円。月にならすと月7,700円の差です。
「無償化のおかげで思ったより安い」と感じますか?それとも「やっぱり高い」と感じますか。私の結論は後者です。私立は、授業料が無償化されても高い。 数字がそれを証明しています。
「波」の違い。私立のほうが予算は立てやすい
ただ、金額の差よりも気になったのが、月ごとのブレ幅です。
公立は0円の月もあれば2万円超の月もある。8月は夏休みで0円でした。一方、私立は夏休みも関係なく毎月15,100円が引き落とされます。最初は「休みの月も取るの?」と思いましたが、年間固定で割ってある仕組みなのでそういうものです。
むしろ家計管理の面では、毎月の金額が読める私立の方が予算は立てやすいと感じています。公立は年間を先に計算して、月ごとに積み立てておく管理が必要です。
ひとつ、正直に書いておきます。わが家の地域は都会とは逆で、「成績のいい子が公立、そうでない子が私立」という序列があります。真ん中の子は勉強が得意ではなく、私立しか選択肢がなかった、というのが実情です。
だからこそ思うのですが——「私立は高い」という事実から目を背けたくない。無償化は確かにありがたい制度です。でも、授業料以外の部分が年間9万円以上積み上がる現実を、ちゃんと数字で見ておくことが大事だと思っています。
よくある疑問:就学支援金の手続きはどうするの?

「うちも対象になるの?」と思った方のために、簡単に補足します。
就学支援金は、学校を通じて申請する仕組みです。毎年4〜5月に学校から案内が届き、マイナポータルや書類で世帯収入を申告します。支給上限(令和8年度以降は年収制限なし)を超えない範囲で、授業料に直接充当されます。
手続きを忘れると支援金が受け取れないので、学校からの案内は必ず確認してください。
失敗も成功も、すべては数字に現れます。これからも、教育費の「本当のところ」を隠さずにお伝えします。
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※本記事の情報は2026年4月現在のものです。


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